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丹野まさよしとがんばり隊

丹野まさよしとがんばり隊

議会改革に関する報告書

    
        名取市議会改革に関する調査報告書
 
1 はじめに
 平成12年4月の地方分権一括法の施行により、国と自治体との関係が対等・協力へと変化した。このことにより地方自治体の自主性・自立性が拡大し、議会の責任と権限が一層強まることとなった。

 地方自治体は二元代表制をとっており、その一翼を担う議会は執行機関と独立・対等の関係にある。

 住民の直接選挙により選出される首長と議会は両者とも住民を代表する機関であるが、首長が独任制であるのに対して、議会は複数の代表で構成された合議制の機関である。言うまでもなく、地方議会は自治型社会つまり住民自治の根幹をなすべき重要な機関であり、憲法第93条に議事機関として位置付けられている。

 議会の重要な機能として、地方自治体の基本的事項を決定する団体意思の決定機能と執行機関を監視・評価する二つの機能を持つが、議会はその審議の過程において多様な住民の意見を反映させ、課題や論点を明らかにしながら政策を決定していくことが期待されている。

 しかし、「議会に対する関心が低い」、「議会活動に対する理解も不十分である」という市民アンケートの結果は重く受けとめなければならない。議会が住民代表機関として市民の負託に応え、その責任を果たしていくためにも、質的な充実が求められている。

 地方分権改革の進展は、名取市議会にとって自己点検、自己改革のチャンスと捉え、市民本位の立場から、これまで以上に公平・公正・透明な議会運営や開かれた議会づくりを推進していかなければならない。


2 議会改革特別委員会への付託事項
(1)住民と議会との意思疎通の充実に関すること。
(2)議員の処遇と議員定数等に関すること。
(3)政策形成機能の充実に関すること。
 


3 委員会並びに研修等の開催状況
<委員会開催状況>
開 催 日 時  議 事 内 容
第1回 平成20年6月13日 ・正副委員長の互選

第2回 平成20年8月22日 ・今後の進め方について
               ・検討事項の決定について

第3回 平成20年10月7日 ・視察研修について
               ・検討事項の確認について

第4回 平成20年10月24日 ・視察研修について
               ・アンケート調査の実施について

第5回 平成20年11月12日 ・アンケート調査票の確認について
               ・処遇と報酬等の見直しについて

第6回 平成20年11月21日 ・処遇と報酬等の見直しについて
               ・議員の資質向上について

第7回 平成20年12月24日 ・「議員の処遇と議員定数等に関すること」                の取りまとめについて

第8回 平成21年4月2日    ・アンケート調査結果の公表について

第9回 平成21年4月14日 ・アンケート調査に係る市民説明会について
               ・「議員の処遇と議員定数等に関すること」                 の取りまとめについて

第10回 平成21年4月21日 ・「議員の処遇と議員定数等に関すること」                の取りまとめについて
               ・「住民と議会との意思疎通の充実に関する                こと」及び「政策形成機能の充実に関する                こと」について

第11回 平成21年5月1日 ・「議員の処遇と議員定数等に関すること」                の意見の集約結果による取りまとめについ                て

第12回 平成21年5月25日 ・議会改革特別委員会の中間報告(案)につ                いて

第13回  平成21年5月29日   ・議会改革特別委員会の中間報告(案)に                 ついて

第14回  平成21年8月11日   ・付託事項の最終報告に向けた取り組み方                 針について

第15回  平成21年8月25日   ・「住民と議会との意思疎通の充実に関す                 ること」の最終報告に向けた取りまとめ                 について

第16回  平成21年10月15日   ・「議員の処遇と議員定数等に関すること                 の最終報告に向けた取りまとめについて

第17回  平成21年10月26日   「政策形成機能の充実に関すること」の最                 終報告に向けた取りまとめについて

第18回  平成21年11月6日   ・最終報告に向けた意見の取りまとめにつ                 いて

第19回  平成21年11月19日  ・議会改革に関する調査報告書(案)につい                て

第20回  平成21年11月24日   ・議会改革に関する調査報告書(案)につ                 いて

第21回  平成21年11月26日   ・議会改革に関する調査報告書(案)につ                 いて

第22回  平成21年12月3日    ・議会改革に関する調査報告書(案)に                 ついて




<アンケート調査>
アンケート調査 平成21年1月27日
    ~2月10日 名取市議会に関するアンケート調査
配付数 2,000
回収数  821
回収率  41.1%

<研 修>
視察研修 平成21年1月26日
    ~1月28日 視察先
・三重県四日市市 ・愛知県北名古屋市
・奈良県天理市

視察調査事項
1 住民と議会との意思疎通の充実について
2 議員の処遇と議員定数等について
3 政策形成機能の充実について

全議員による研修

平成21年4月15日
テーマ:「議会改革の進め方及び諸般の課題等について・会津若松市議会を例に」
       講師:前福島県会津若松市議会事務局次長
                  小端国彦氏


平成21年11月16日
テーマ:「自立のまちづくり」
講師:前福島県矢祭町長  根本良一氏


<議会報告会>
第1回 平成21年7月24日~26日
第1回議会報告会
・市内11カ所で実施
・テーマ「議会の仕組みと役割」
「市政運営全般について」

第2回 平成21年11月7日、8日、14日、15日
第2回議会報告会
・市内12カ所で実施
・テーマ「第1回議会報告会の実施結果について」
「各地区の課題について」


4 調査経過の概要
 地方分権時代においては、議会の持つ議事機関としての政策形成機能と監視機関としての機能の充実・強化と、議会と住民の意思がかけ離れないようにする努力が求められている。そこで、議会の一層の活性化やその果たすべき役割を認識し、議会の自己改革を進めるために、平成20年6月定例会において「議会改革特別委員会」が設置された。

 本委員会は、その設置の趣旨を踏まえ、審議日程を確認し、付託事項の内容について検討した。また、20歳以上の市民2,000名を対象に「名取市議会に関する住民意識調査」を実施し、821人より回答があった。その中で約6割が「議会改革が必要」との結果であった。

 アンケート調査結果については「名取市議会に関する住民意識調査」結果報告書を作成し、市議会だよりに調査結果の概要版を、市議会ホームページには全文を公開した。

 さらに委員会として議会改革に対する市民の意見を直接聞く機会を設けるべきとの意見が出されたが、調整の結果全議員による「議会報告会」を実施することとなった。
 
 また、平成21年1月26日から28日にかけて先進地である三重県四日市市議会、愛知県北名古屋市議会、奈良県天理市議会を訪問し、付託事項について視察研修を実施した。
さらに、議会改革をテーマに全議員を対象とした議員研修会が2回実施された。
 第1回目は、4月15日に前福島県会津若松市議会事務局次長の小端国彦氏を、第2回目は11月16日に前福島県矢祭町長の根本良一氏を迎え、議会改革の推進に向けた議員の共通認識を図ることができた。
 特に付託事項の議員報酬、政務調査費、費用弁償、議員定数に関することについては、各会派からの意見の取りまとめや、中間報告でまとめた意見を基に具体的な手法について調査検討してきた。


5 名取市議会におけるこれまでの議会改革の取り組み
名取市議会では、これまで議会運営委員会を中心に議会改革に取り組んできた。主な項目については次のとおりである。

○議会運営に関することについて
・会議の開会時間を午後1時から午前10時とした。
(平成16年12月より)
 ・一般質問の日程を会期後半から市長提出議案審議前の実施とした。
  (平成17年6月試行、平成19年9月本格実施)
 ・一般質問の対面式による一問一答方式の導入
  (平成18年12月試行、平成19年9月本格実施)
 ・意見書の委員会付託(平成20年9月試行、平成21年2月本格実施)
 ・議案の委員会付託(平成21年6月から)

○開かれた議会に関することについて
 ・議会ホームページに会議録検索システムの導入(平成20年7月)
 ・議長交際費の公開(平成20年7月から)
 ・政務調査費の公開(平成20年度分から)
  これらの議会改革は、議会の活性化や情報の公開に主眼を置いたものであ  り一定の効果を上げている。


6 付託事項の検討結果
 (1)付託事項1 住民と議会との意思疎通の充実に関すること
アンケートの結果では、市議会に関心がない理由として、「興味がない」と答えた人が44.2%、「仕組みがわからない」が39.1%となっている。また、開かれた議会であると思わない理由として、「意見が反映されていない」が16.6%、「活動がわからない」が28.6%、「市民との接点がない」が36.3%となっており、市民と議員・議会との意思疎通が不足していることがうかがわれる。

 一方、市議会だよりの閲読状況では、「全部読んでいる」と答えた人が30.1%、「関心のある記事だけを読む」が54.3%と全体の8割以上の人が市議会だよりを閲読しており、行政の方向性や議会活動の情報に関心を持っていると理解できる。また、議会報告会に望む内容として「定例会の会議結果」が9.6%、「住民との意見交換会等」が66.2%と、意見交換会に対する要望が多い結果であった。

 開かれた議会にしていくためには、情報公開や会議の公開のあり方を改善し進めること。市議会だより・市議会ホームページの改善、住民参加の推進を図っていくことが必要である。

 委員会として、市民との協働によるまちづくりを目指すため、議会の公正性、透明性を確保し、地方分権時代に相応しい自立した議会活動に自ら変えていくことが重要であるということを確認した。行政の役割、議会の役割、市民の役割を明確化するためには、議会基本条例や自治基本条例の制定が必要と考える。

 さらに、市民への情報提供と共有化を図り、議会の説明責任を果たすために、意見交換会等の実施により、市民の声を真摯に受けとめ、対応すべきである。同時に、議員として何を目指しているのか、常に答えられてこそ、市民の負託に応えることができるという自覚を持つことが重要である。

 また、市民に議会活動を理解してもらう方法として議会モニターを実施することなどの意見が出された。それらを踏まえ、検討結果を次のようにまとめた。

(1)議会基本条例の制定と自治基本条例の制定の促進について

イ 議会基本条例の必要性について
 地方分権時代を迎え、自治体の自主的な決定と責任範囲が拡大している。議会には、住民自治及び団体自治の原則に基づく、地方自治の実現に向けて、自治体事務の執行の監視・評価及び政策立案や提言を行い、その結果を広く市民に明らかにする義務がある。議会におけるそれらの重要な使命を自覚し、その責任を遂行するために、議会基本条例の制定が必要である。また、自治体の憲法と言われている自治基本条例については、自立した自治体を目指すという姿勢を表す重要なものであるととらえており、制定を促すべきと考える。

ロ 議会基本条例の制定に向けて留意すべき事項
○議員全員の共通認識をたかめるとともに合意を得ること。
○全議員をメンバーとする(仮称)議会改革実施委員会を設置すること。
○実施委員会内に作業部会を置き、学識経験者等の協力も得ながら、進めること。
○素案ができた段階で、パブリックコメントや市民懇談会等を実施していくこと。
○概ね1年を目途に制定することが望ましい。
  
(2)市民との意見交換会や懇談会等の開催について
平成21年度中に議会報告会を2回実施した。市民と情報を共有する点で成果があり、今後も継続すべきである。開催については、全議員で総括し、今後の実施主体、会議名称(報告会、懇談会、意見交換会等)、時期、テーマ、回数、市民からの意見・提言への対応などを検討し、今後もさらに充実を図るべきである。

(3)議会モニター制度、議会の映像配信等の広聴活動について
市民ニーズを反映した議会運営を図るため、議員や議会活動について市民の意見要望を聴取する「議会モニター制度」の設置について検討していくべきである。モニターの内容や報告方法、謝礼等については議会報告会等でも取り上げながら市民の意見を反映させるべきである。
映像配信については、議会広報特別委員会を再編・拡充し、(仮称)広報広聴委員会を設置して実施すべきである。予算の確保が伴うことから会派代表者会議に諮りながら、概ね1~2年を目標に取り組むべきである。


付託事項2 議員の処遇と議員定数等に関すること
 アンケート結果では、議員報酬、政務調査費、費用弁償、議員定数についての回答として「適当」と答えた人は比較的少なかった。
議員の活動内容について「わからない」と答えた人が半数以上を占めていることからも、議員の活動状況が市民に十分に理解されていないことにも一因があると思われる。

 市民に議会活動等の内容をより理解してもらうための手法の確立や、議会活動の評価がなされてこそ、議員定数や報酬等の根拠が出てくるものとの視点から、議会のあるべき姿を模索しながら、検討を行った。  

1,議員報酬について
地方自治法が改正されたことにより、議員報酬の支給方法に関する規定が、他の行政委員会の委員報酬の支給方法等の規定から分離された。
地方自治法第203条で以下の通り規定され、報酬の名称も「議員報酬」に改められた。

[地方自治法第203条 議員報酬及び費用弁償]
1 普通地方公共団体は、その議会の議員に対し、議員報酬を支給しなければならない。
2 普通地方公共団体の議会の議員は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。
3 普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる。
4 議員報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

 アンケートでは議員報酬が「多い」という回答が47.1%と約半数を占めていたが、委員会では、議会活性化のために人材を広く求めるという視点からも、議員が専業として活動するために報酬を生活給として保障していくことが必要であるとの意見が出された。また、県内の自治体の現状調査等を行う中で、類似団体に比しても低額であるという実態も明らかになった。現在の経済状況や市民感覚を考慮すると報酬を上げることには様々な課題がある。議会報告会等の機会を生かし、議員のあり方や議会活動について、広く市民の理解を得る努力をしていく必要がある。そのような議論を経て、委員会では、現行通り据え置くことが現実的であるという結論に達した。

 今後の検討の仕方としては、全議員を構成メンバーとする(仮称)議会改革実施委員会の中で議員同士のコンセンサスを形成しながら、議員だけでなく学識経験者や市民も含めて議論することが望ましい。

2,政務調査費について
 地方分権一括法の施行により、地方議会の活動が重要視されてきたことから、平成12年に地方自治法が改正され、新たに導入された制度である。地方自治法第100条第14項に規定され、地方議会の議員に対し調査研究等の活動を目的として交付されるものである。

 アンケートでは、「活動していくのに必要なものであるだろうから妥当だと思うが領収書などの提出、使用目的など明確にしておくべき」との意見があった。また、「必要ない」、「わからない」との意見もあった。
政務調査費は先進地の調査、研修会参加の費用、調査研究に必要な図書、資料の購入など必要経費に当たるもので、研修等を実施したことについて市政にどう反映させていくかが重要である。

 本市議会では、平成21年6月から政務調査費の使途をホームページにて公開しているが、市民に対して説明責任を果たしながら、議員の政策形成能力と議会としての機能をより高めていくことが必要である。さらに、政務調査費の必要性について議会報告会等で市民に理解を得ていくべきである。
 以上を踏まえ委員会では、政務調査費は議員の資質向上を図り、政策形成能力を高めるためにも重要であり、引き上げを含めて検討すべきであるとの結論に達した。

 しかしながら、議員報酬と同様に現在の経済状況や市民感覚を考慮すると引き上げには課題が多く、議会報告会等を生かし、議員のあり方や議会活動について広く市民の理解を得る努力をする必要がある。
 政務調査費の使途についてはすべて公開となっているが、報告書等を公的施設においても閲覧できるようにし、さらに透明性を高めるべきである。今後は、他市の現状なども考慮しながら、(仮称)議会改革実施委員会で議論を深めていくべきと考える。

3,費用弁償について
 アンケートの中では、費用弁償の支給に対し否定的な意見もあった。地方自治法で費用弁償の支給について規定されていることから、その必要性はあるものと考えるが、昨今の経済状況と市民の政治参加意識の高まりの中、一律支給はやはり改めるべきではないか、などの議論がなされた。よって委員会では、その支給額については旅費支給条例等の旅費規定に基づく、実費弁償とすべきであるとの結論に達した。


4,議員定数について
 市町村議会の議員の定数について地方自治法第91条第2項では、「超えない範囲内」で定める旨規定されており、上限値の範囲での自主性・自立性が認められている。ゆえに、各自治体における定数の具体的決定においては、地域状況などを勘案し、定数削減を行っているのが現状である。

 定数決定の要素の一つとして、人口規模に基づく考え方がある。現在名取市は人口が増加傾向にあって、仮に定数を削減した場合、再度定数を増やすことは難しいと思われる。また、議会としての行政監視機能の強化などのために現状維持が望ましいとの意見もあった。アンケートでは47.5%の方が条例定数24人について「多い」と回答している。

 委員会では常任委員会のあり方も含めて削減するという方向で検討すべきという意見が多数を占めたが、住民自治の観点から、地方議会の役割はますます重要になっており、今後も人口増が見込まれる名取市の状況や、市民からの多様な意見を市政に反映させるためには、安易に定数を削減すべきでないという意見もあった。

 今後の進め方としては、全議員で構成する(仮称)議会改革実施委員会の中で議論を深め、議員同士のコンセンサスを形成しながら、概ね1年で結論を出すことを目標とするべきである。


付託事項3 政策形成機能の充実に関すること
 
 議会には執行機関に対し、議会からの意見、要望を反映させ、その執行を監視するという役割がある。また、チェック機能の重視のみならず、議会主導の政策形成サイクルの重要性が指摘されている。

 アンケートの調査結果では、議会への市民の声の反映度として、「ある程度反映されている」と答えている人が36.9%、「反映されていない」が21.6%となっている。議会への評価については、「ある程度評価する」が34.8%、「あまり評価しない」が19.2%、「まったく評価しない」が4.3%となっている。
 議員の自己研鑽により、資質の向上を図ることを原則とするが、補完的な役割として、議会独自の研修会や議員派遣を行い、その時々の社会情勢や市政に関する重要な政策及び課題について、議員の共通認識を深めることが肝要である。

 さらに、市町村アカデミー等の研修機関では、市町村議員の資質向上のため第一線の講師陣をそろえて研修等が開催されているが、本市議会においてもこれらの機関と連携して講師陣を招き、また議員派遣によって研鑽を積むことが重要である。そのためには、これらの機会を積極的に活用できるよう議員の派遣制度を充実していくことが必要である。
 
 また、常任委員会の活性化を図ることを目的に、常任委員会による意見交換会の実施を検討することや地方自治法改正の際、議会運営委員会においては一人一委員会という結論を得ている常任委員会の複数所属の課題や閉会中でも協議ができる通年制の常任委員会のあり方についても意見が出された。

 さらに二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能をさらに発揮するためにも法制担当職員の配置を検討すべきである。
以上を踏まえ、検討結果は次のとおりである。

1, 議員の資質向上について
 自治型社会の実現のために、その代表として選ばれた議員の役割は重要である。市民の意見の収集と情報発信を積極的に行い、市民協働のまちづくりを実現するため、政策形成能力の向上に努め、あわせて議会での意思決定に関する説明責任を果たす必要がある。

 市民アンケートの結果では、幅広い視野と感覚を持ち、多様な住民の要望に対応してほしいとの意見が寄せられていることから、個人の資質を高めるのはもちろん、議会でも研修を定期化するなど、勉強の機会を定着させ、政策形成機能向上に努めることが重要である。また、議会報告会や議会のインターネット中継などにより、議会の現状をオープンにすることで、議員の資質向上を図るべきである。

2,議員研修の充実について
 議員研修の制度化を図り、全国的な研修にも参加できるよう会派代表者会議、議会運営委員会で協議し進めていくべきである。また、審査能力向上を図るために研修会や協議会を設け、全議員による討論を行い政策形成に結びつけるべきである。

3,常任委員会の活性化について
 議長、副議長、常任委員会の正副委員長をメンバーとする小委員会を設置し、閉会中でも協議ができる通年制の常任委員会を検討すべきである。常任委員会の所管する事項について、テーマを設け積極的に市民のもとに出向き、意見交換会や懇談会を実施できる委員会とし、活性化を図るべきである。
 また、常任委員会の権限を最大限活用するとともに、委員会の複数所属についても検討していくべきである。

4,議会事務局体制の強化について
議会の政策機能の向上を図り、議会活動を充実させ、円滑かつ効率的に行うため議会事務局の体制及び法制機能の充実を図るべきである。

 議会基本条例に議会事務局の体制強化について明文化し、議会事務局
の法制事務向上を図るため事務局職員の養成、もしくは法制担当職員の配置を検討すべきである。


7 むすび
 これからの地方自治体は「地方政府」として、自主・自立の道を歩んでいかなければならない。今日の厳しい社会経済情勢の中での財政問題はもとより、地方自治体の抱える様々な課題を執行機関と共に克服していかなければならない。そのためには、議会が議事機関として機能を発揮するとともに、市民の多様な意見を反映しうる合議体として生まれ変わることが必要である。
 
 委員会の付託事項の検討にあたり、議会改革に先進的に取り組んでいる四日市市議会、北名古屋市議会、天理市議会を視察したが、いずれの議会においても「議会」と「市民」が協働しながら議会改革を進めていた。
そこでは、議員自らが市民のもとに出向き意見や提言を求め、また、議員同士の研修を重ね、討論を深めながら、意欲的に議会改革に取り組んでいる真摯な姿があった。

 名取市議会が、身近な存在として、市民の負託に応えていくためには、自らが改革への道筋を明らかにし、実践することを肝に銘じなくてはならない。本市議会でも平成21年度に初めて「議会報告会」を開催し、市民の声を直接聞く新たな試みを行ったことにより、議会活動を一歩前進させることができた。市民から出された意見等を全議員が受け止め、討議することは、市民の目線での議会改革につながるものと思われる。

 これを契機として、新しい地方分権の時代にふさわしい名取市議会の在り方を示していくことが重要であり、議会基本条例や自治基本条例の制定が待たれる。

 名取市独自の議会基本条例に向けての取り組みによって、議会のあるべき姿がより明らかにされ、議会改革が一層推進されものと考える。
 そして何よりも大切なことは、私たち議員自らが、名取市の未来に向けて、不退転の決意と不断の努力を積み重ねていくことを互いに確認しあうことである。そのことを「むすび」の最後に加え、最終報告とする。
         
議会改革特別委員会委員
委 員 長  相 澤   雅
副委員長  高 橋 和 夫
委  員  菊 地   忍
委  員  小野寺 美 穂
委  員  丹 野 政 喜
委  員  山 口   實
委  員  山 田 龍太郎


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